落ちぶれブログ

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2012年 05月 26日

再び愛媛へ

前回出来そうで出来なかったPのラインを完成させる為に今週も四国へ。
流石に単独ではヤバイので、まずはHG兄貴に打診してみるが「今週は都合が合わない」とのこと。
ではabeちゃんを誘ってみるかとメールしたら「二人じゃ無理!」というご尤もな返事。
仕方ないので家中のマットをかき集め夫婦二人で行くことにした。
石橋を叩いて叩いて他人に渡らせるタイプの自分がこんなハイボールを登りたくて必死になるなんて考えられないが、それだけしても登りたい魅力がこの岩にはある。

とにかく車に詰めるだけのマットを詰め込んで全く後ろが見えない状態で到着。
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今回狙うのは「積層の滴」のダイレクトP。
「積層の滴」は左上しながらリップへと抜けるのだが、ダイレクトPはこれを真下から真っ直ぐ抜けようというもの。
奇跡的にホールドもあり、前回は滴へと合流する一手がとまらないまま終わった。
その時はヨレもあったし指皮もなかったので次回来ればすぐ出来るだろうと思っていた。
ただ、前回はマットも人数も居たが今日は夫婦二人だけ。本当に今日登れるのか?

取り敢えずマットと荷物を運ぶのに3往復し、付近のガバ岩とエンハンサーで念入りにアップする。
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嫁もエンハンサーを登ったのでいよいよダイレクトPにトライする。
前回止まらなかった一手まではいきなり繋がった。
一回目は落ちる場所の確認なので軽く手を出してフォール。
高さはあるが、問題なく足から着地できるし思っていた通りの場所だったので、2回目からは真剣に止めにかかる。
しかし、何度やっても滴に合流する一手がとまらない。

ここからの一手が止まらない↓
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左手のホールドが外傾気味のフラットで、勢いを付けすぎると抜けてしまう。
丁度の距離に体を放り込んでエッジを捉えなくては左手が我慢できずに吐き出されてしまう。
足位置を変え、バランスを変え、色々と試したが後少しが我慢できない。
一瞬止まるのに留まっていられない。
自分にとってこの一手は「出来そうに見えて実は非常に難しい一手」であることがやればやるほど分かってきた。
しかも部分練習が出来る高さではないので、このワンムーブの為に常にスタートから繋げなくてはならず、下部の消耗やバランスの崩れも相まって毎回ベストな状態で試せるとは限らない。
通えば出来そうな一手なのだが、時期的にも自分の予定的にも今日しかないだけに焦る。

ワントライごとにマットをセットし直し、着地点を確かめながら一瞬止まっては落ちるというトライを繰り返す。
その内ガバにスタックさせている右手の薬指と小指の逆剥けが酷くなり血が流れ出す。
体力の消耗もあり、あまり何度も出せない。

しかし、諦めず集中してトライしていると、ついにドンピシャで距離とタイミングが合い、初めてエッジを捉える事に成功。
一瞬焦るが、すぐに切り替えてこの先のムーブに集中。
ここからは未知の領域。
左手でカチを握って当初予定していたガバを右手で・・・取るはずだったがバランスが合わない。
急遽ガバは使わず次のホールドを直接取りに行くムーブに変更する。
わずかな膨らみを踏み込んで、ギリで足を残す。
ここからは滴で一度体験している部分なのでムーブの迷いはない。
右足を流してカウンターで左手のインカットカチに手を出せば一旦安心できる態勢になれるのは分かっている。
分かっているが保持している右手に嫌なヌメリを感じる。
出せなくはないがここですっぽ抜けたらコントロールできずに落ちることになる。
無理ができる高さではないので嫁にマット位置を指示して自分から着地態勢を取って飛び降りる。
一度着地したにも関わらず、その勢いが強すぎてバウンドして取り付き近くまで吹っ飛んだ。
たまたま置いていた別のマットに救われたがもう自分の意志でどうこうできる勢いではない。
恐ろしさを感じる反面、このトライで登れるという確証が得られた。
この手の課題では一度は核心を越えて落ちるのは想定済み。

この後何度か核心の一手で落ちたが、再び右のエッジを捉えたトライで最終局面まで突入。
前回より右手の保持感がある。
流した右足で形状を挟み込んで安定して左手が出た。
いよいよ最後の一線、次を出したら行くしかない。
最後のホールドへゆっくりと左手を伸ばす。
決して悪くないはずのホールドだが、ここまでのツケが一気に前腕にやってきて五分五分の持て感。
迷っている暇はない。一瞬だけ下を確認して右足に乗り込んでいく。
滴の時に悪く感じたリップが今回は「助かったー!」と感じるくらいギリギリだった。
マントルを返して岩の上に立つ。
これまでの緊張が一気に解放され歓喜の声が出た。
登るつもりで来たし、登りたかったが、本当に登れてしまうと何とも言えない感情に襲われて言葉にならない。
気持ちの昂りが治まらない中、スポットしてくれた嫁と喜びを分かち合った。
本当に嬉しい瞬間だった。


「積層の滴」がこの岩の弱点を突きながら左上していく合理的ではっきりしたラインなら、ダイレクトPはこの岩を真っ直ぐ突き抜けるシンプルで無駄のないライン。
この大岩を貫くような一本のラインから課題名は「龍脈」としたい。
自分的にはどちらも味のある素晴らしい課題だと思う。

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スタートは取り付きの左寄りにあるアンダーホールド。右手が顔の上くらいの顕著なアンダー、左手はその横の形状をアンダーピンチ。
自分のムーブで12手中最後の4手が滴と同じだが内容は全く異なる。
ムーブの核心は下部~中間部で強度的には二段くらいだが、落ちれない上部も含めてトータルで三段くらいが妥当だと思う。
ただ、グレードは再登者の意見も含めて今後確定していけば良いと思うので、数字よりもこの岩に魅力を感じたクライマーにこそトライしてもらいたい。
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by ochibure | 2012-05-26 18:30 | 四国


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